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前へ 岡井さんの着替え方って、独特。 体育の前の休み時間、更衣室でジャージに着替え終えたその姿を見ながら、私はしみじみそんなことを考えた。 女子校あるあるみたいなお話なんだけど、着替えって結構個性が出る。 主流は、制服の上からジャージを着こんで、中でもそもそとシャツを脱ぐパターン(私はこれ) 特に気にせず、ガバッと脱いでガバッと着こむ人たちもいる(これは運動部の子たちだね) 超少数派になると、トイレにこもっていたかと思ったら、ジャージに着替えて出てくるという人たちもいる(うちの団長。ちなみに、熊井ちゃんが上からのぞいて軍団存続の危機を迎えたことも) ところが、岡井さんと来たら、このどれにも該当しない。・・・いや、正確には、誰も着替えている所をみたことがないのだ。 これは、トイレ着替えグループとは意味が違う。 一緒にロッカーに行って、しゃべりながら着替え始めて、いつのまにか完了している。 そう、いつも、本当にほんの一瞬。 私が目を離した数秒間の間に、岡井さんの小さな体は、紺色のジャージにちょこんと包まれている。キャラがキャラだけに、それについて追及することは憚られるし・・・ニコニコと笑っている顔を見たら、理由のわからない罪悪感を覚えてしまう。 「おっ、梨沙子のブラ可愛い!」 「あー、これはね、隣の駅のショッピングモールで・・・」 今日も今日とて、少し他の子としゃべってる間に、岡井さんはいつの間にかとっくに着替えを終えていた。いつのまに・・・。 「今度一緒に買いに行こうよー」 「えー、いいけどぉ。私、ペンライトも買いに行くよ?あと、うちわの台紙とハッピとぉ」 「あっ、やっぱいいわ」 「ちょっと!何そのリアクション!」 話にのってこないかな?と岡井さんの方をチラ見するけれど、いつもどおりボーッとした顔で、私たちのおしゃべりを聞いているのかいないのかよくわからない。 343 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/24(金) 17 18 11 「岡井さんは、ブラとかどこで買ってるの?」 試しに話を振ってみると、岡井さんは目をぱちくりさせて、恥ずかしそうにほっぺたを両手で押さえた。 「えと・・・し、下着・・・」 ちょっと、梨沙子!なんて咎めるような声で言われるけど、別にいいじゃーん。普通の会話じゃーん。 「ねえねえ、どうなのよー」 大げさなぐらい、顔を真っ赤にして恥ずかしがってくれるから、ついイタズラ心が疼いてしまう。 「あの・・・下着、は、母のお友達に、ランジェリーデザイナーの方がいて・・・昔、から・・・」 そう言って教えて貰ったデザイナーさんの名前は、もちろん聞いたこともない何とかピエールみたいなフランス人ぽい響きで、いかにもセレブ専門といった感じがした。 新しいのがほしくなると、その人が経営している専門店に行って、採寸やらフィッティングやらやってもらうらしい。 「ひえ~・・・○○・・・」 気の早い友達が、スマホでブランド名を検索して、感嘆の声を上げる。・・・ま、岡井さんだもん。セレブなんだから、それなりの付けてたって・・・ 「じゅ、じゅうまんえん・・・」 ――はい、恐れ入りました!なにそれ怖い! 「どどど、どんな装飾にしたら、そんな値段になるわけ?」 「あ、あの・・・金額のことは、私は、えと・・・」 「ていうか、いっつも岡井さん、どうやって着替えてるの?いつも見れないんだけど。・・・いや、見たいわけじゃないんだよ?でもぉ」 私からの矢継ぎ早の質問に、口ぽかーん状態の岡井さん。 やめなよー、とか言いつつ、クラスのみんなは興味津々と言った感じに、私と岡井さんのやりとりを観察している。 「・・・あの、着替え・・・そ、そんなに、変わっているかしら?」 しばらくして、困惑気味の岡井さんが、深い茶色の瞳を私に向けてきた。 「変わってるっていうかー、どうやってるんだろう?って思って」 「まあ…特殊なことをしているつもりはないのだけれど・・・」 「私はさー、ジャージ着るじゃん?手突っ込むじゃん?それでもぞもぞと」 空中でジェスチャーをやってみせると、その手の動きに合わせて、岡井さんの目がくるくると動く。わんちゃんみたいだ。 「それは、なんだか難しいわね。千聖は、めぐ・・・メイドから、効率の良い方法を聞いて、そうしているのだけれど」 そういうと、岡井さんは突然ジャージに手を掛け、おもむろにガバッとまくり上げた。 「お、岡井さん!?」 「その・・・ここをこうして、こうなって」 ちょ、あんたそんな大胆な・・・あ、てか本当に高そうな下着・・・胸おっき・・・ あまりにも情報量が多すぎるその光景に、私の頭はパンク寸前のあばばば状態。 「ギュフーーーーーッ!!!!」 そして、この聞きなれた金切声。 不幸にも、そんな光景を目の当たりにしてしまったのは、おなじみ風紀いいんちょーさん。 今日は1コ上の学年と、合同体育なんだった・・・。ぱっちり丸くて可愛いお目目が、飛び出さんばかりに見開かれて、いんちょーさんのショックの度合いを物語っている。 「おじょじょ、じょじょじょ」 「あら、ごきげんよう、なっきぃ」 一体、どこをどうしたらそうなるのか、袖口のところから小さな頭をぴょこりと出した岡井さんが、目を三日月にしてにっこり笑った。 次へ TOP
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「……………」 あまりの事に言葉が出なかった。それほどまでに強烈過ぎた。 と同時に少し羨ましく思った。 (後悔しないって決めたのになぁ。 自分で決めて自分で進んだ道だからって) あの日、千聖は私に抱きついたかと思うとなかなか離してくれなかった。 手紙を毎週書くからという約束でなんとか納得してもらい今でも続いている関係。 変わったのは手紙からメールになった事くらいかな。 (いろいろあるみたいだけど千聖も自分の道を進み始めてるんだよね。 私も負けてられないな) メールを返信し終えると私は勉強机に向かった。 この関係だけは絶対に変わる事がないことを強く願いながら。 それにしても…… 从; ’w’)<この人にだけはあまり会いたくないかも保全。クゥ~ン。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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前へ ♪なつやすみ~ 決心の なつやす~み~♪(りさこ!) ♪あなた~に 今よりぐっと ちかづきたい~♪(りたこ!!) 高校2年生の夏休みがやってくる。 一度しかない高2の夏休み、最高の夏休みにするんだ! 人はこの季節、情熱的になる。そして、それは僕にとっても例外ではない。もう今から気持ちが高ぶっているんだ。 この夏休み、絶対「忘れたくない夏」になるはずだ。 そう、僕と舞ちゃんの二人にとって、ひと夏の思い出ができるはずだから。 一生の思い出に残る特別の夏休みになる予感で一杯なんだ!! 舞ちゃんと2人っきりでどこかに出かけたいな。 僕たちにとって、それは初めてのデート。 最初はぎこちなかった2人も、時間とともに距離が縮まってくるんだ。 てっ、手を繋いだりなんかしちゃったりして!? 夜になったら2人で花火を見に行こう。 そして、大きいのが上がったとき・・・ もうどうしよう!!! 考えるだけで顔がニヤけてきてしまうんですけどムフフフ。楽しみすぎる! そんな(どんな?)予定があるこの夏をたっぷりと楽しむためにも、先立つものがやっぱり必要だろう。 だから、夏期講習が始まるまでの間、僕はその時間を使ってアルバイトをすることにしたんだ。 バイトをして、夏期講習で勉強をして、そして彼女(?)と過ごす毎日。 なんという充実した夏休みなのだろう! いつものカフェにやってきた僕。 夏休み前、今日が最後の席取りになるんだろう。 これでしばらくは解放されるんだ、と思うと気持ちも浮き立ってくるってものだ。 「はい熊井ちゃん、これ頼まれてた抹茶あずき餅ワッフル!」 「おー、ちゃんと見つけてきたんだね。ご苦労!」 「どういたしまして! やっと見つけたときは嬉しくて、宝探しみたいで楽しいもんだね!」 「あれ、なんか今日は明るいねー。いいことだと思うよ。いっつもちょっと暗いんだからさー」 僕が暗くなるとすれば、その原因はいつもいつもあなt と、いつもの僕ならツッコむところなのだろうが、今日は確かに彼女の言うとおり心が軽くなっている。 だって、もぉ軍団と関わるのは今日でしばらくお休みなんだから。 そりゃあ、気持ちも軽くなるってものさ! さよなら、もぉ軍団。フォーエバー!! それに何といっても、いま僕は舞ちゃんと過ごす夏休みのことで頭がいっぱい幸せもいっぱいなのだから。 夏休みを前に僕の気持ちは最高潮に高ぶっていた。 目の前の熊井ちゃんに聞かれたことにもサクサクと答えられる。 「もうすぐ夏休みだねー。何か予定はあるの?」 「とりあえず、僕は夏休みになったら、すぐにバイトをするつもり」 「うん。それは感心だね」 僕の答えに満足したかのように熊井ちゃんが頷いた。 「もぉ軍団の活動資金を調達するつもりなんだね。いい心がけじゃん。頑張ってしっかり稼いでくるんだよ!」 何故この僕がもぉ軍団の資金調達のために自分の労働力を提供しなければならないのか。 どうすれば、そのような発想になるんだろう。常識的に考えてその発想はおかしいでしょ。 どこまで真面目に言ってるんだ、この人は。 ・・・って、彼女はいつだって大真面目で言ってます。 彼女が言ってることがどんなに常識外れでも、その本人はいつだって至ってマジメなんだから。 御自身の発言に対して一点の疑いも抱いてなんかいないんだろうなあ。 自らそんなツッコミを自分に入れていると、熊井ちゃんの言葉はまだ終わりじゃなかった。 「少しぐらいキツくても、なるべく時給のいいバイトを見つけなさいよ! わかってるよね?」 出たよ、その偉そうな態度。 自称リーダーはいつもの上から目線で、僕のことを真っ直ぐに見下ろしてくる。 僕は軍団の舎弟部門なんだな、と実感させられるのはこんな時だ。 「なんなら、うちが探してきてあげようか?」 熊井ちゃんが妙に優しい顔をして、そんなことを僕に話しかけてくる。 本能的に緊張を覚えた。 稼ぎの8割を抜かせてもらうとして、そうすると軍団の取り分が6割として・・・とか意味不明の言葉をつぶやいてる熊井ちゃん。 そんな人にバイトを斡旋してもらうなんて、謹んでお断りします。 だいたい、8割(!)も中抜きなんて、ピンハネどころじゃないじゃん! どんなえげつないヤ○ザよりもひどいでしょ。 どんだけ阿漕なんだよ、もぉ軍団のバイト斡旋。 しかも、ちょっと待て! 今の熊井ちゃんのつぶやき、おかしいだろ。 僕の給料のうち8割を中抜きしてそのうち軍団の取り分が6割だとしたら、その2割分はどこに消えたんだよ! 目の前の熊井ちゃんは、ほえーっとした笑顔で僕のことを見ていた。 それを見たら何か、細かいことはどうでもいいんだよ、そんな気分になったのだ。 だが幸いなことに、その熊井ちゃんのお世話にはならずに独力でバイトを見つけることができたのだ。 本当に良かったよ。そんな悪徳バイト斡旋業の人の御世話になったりせずに済んで。 僕の素晴らしい夏休みを彼女にメチャクチャにされたりしてたまるかっつーの。 夏休みに入り、僕が見つけたのは造園屋さんのバイトだった。 我ながら、なかなかいいバイトを見つけたと思う。 肉体労働だけに時給も良かったし、現場で行う外作業は楽しかった。 それは僕にとって新鮮な経験ばかりだったし、いろいろなところにある現場へ行けるのも楽しみの一つだった。 その日の現場は、結構遠距離を車で走った先の海沿いにある高級なお屋敷だった。 なんでも偉い人の別邸だそうで。 だから、お屋敷の敷地内では振る舞いに気をつけなければならないらしく、特にそれを心しておくように親方から注意された。 今日、僕が担当したのはお庭の南側に広がる芝生の手入れだった。 広い芝生の上を芝刈り機を手押しして、刈った芝生を残らないように丁寧に集めて、浮いているところを目土をかけて補修する。 太陽を遮るものもない芝生の上で、そんな地道な作業をずっと行っていたら、だんだん頭がクラクラしてきた。 まずい。少し熱中症みたいになりかけてるのかも。 そう思ったときには、もう目の前がチカチカしてきたのだった。 ふらつきながら何とか日陰に入って、木陰にもたれかかり足を伸ばして弛緩する。 このまま少し休ませてもらおう。 ちょっと横になって休めば元に戻るだろう。 そうやって、休ませてもらっていたところ、今日は早起きしてきたこともあってまぶたが重くなってくる。 うつらうつらとしていると、ふいに何か気配を感じた。 閉じていた目を薄く開けると、そこには、一匹の犬がいた。 ミニチュアダックスフントだ。 黄金色のつやつやとした毛並み。 さすがこんなお屋敷だけあって、そこにいる犬まで上品だ。 やってきたダックス君は、その愛らしい目で僕を見つめている。 すると、その犬を呼んでいるのであろう、飼い主さんらしき人の声が聞こえてきた。 それはまた、ずいぶんと可愛らしい声だった。 「リップ! どこにいっちゃったの? もどってきなしゃい!」 「ワン!」 その鳴き声を聞いて、一人の女の子がこちらに歩いてきたようだ。 僕の前までやってきたその女の子。 女の子っていうか、幼女だ。 何歳ぐらいだろう、見たところ僕の妹と同じぐらいの歳に見える。 夢うつつの僕の耳にその子のかわいらしい声が入ってきた。 「どちて、ねてるの?」 「ちょっとね、暑くてクラクラしちゃったんだよ」 その僕の答えを聞くと、その女の子はどこかへ駆け出して行ってしまった。 今の子は、誰なんだろう。 清楚で可愛らしい子だったな。かぶっている麦藁帽子がまた爽やかで。本当にかわいらしい・・・・ ひょっとして、このお屋敷の方なのかもしれない。 親方に言われてるんだ。お屋敷の方に会ったら立場というものをわきまえるように、と。 それは、お屋敷の方に不用意に話しかけたりするのは厳に慎めと暗に言われているってこと。 だから、あの子に話しかけられて、つい僕も話しをしてしまったが、本来それはしてはいけないことなんだ。 ひょっとして、これは怒られるのかも。 あの子は誰かに僕の事を通報しに行ったのかもしれないな。 でも、今はそんなこと考えてる余裕は無いよ。まだ頭がクラクラしてる。 その子が小走りで戻ってくる姿が目に入ってきた。 僕の前に再び現れたその子は、その小さい手に持っているペットボトルを僕に差し出してきた。 「はい、お水。のんで」 「これを僕に? わざわざ持ってきてくれたの?」 その子が頷く。 よく冷えたペットボトル。 その冷たい水を飲んで生き返るような気持ちだった。 「ありがとう。とってもおいしかったよ」 「もうだいじょぶ?」 「うん、大丈夫だよ。ありがとう」 その子がニッコリと笑った。その瞳が三日月のような形になる。 あぁ、本当にかわいらしい子だな。 そんな目の前の女の子に、つい話しかけてしまった。 「ここのお屋敷の子、なのかな? 歳はいくつ?」 「そう。みおん。3ちゃい」 「みおんちゃん、かわいらしい名前だね」 この子は、初めて会った僕に対しても警戒することなく、そのかわいい笑顔を見せてくれた。 人懐っこい子だなあ。 お屋敷の人と口を利いたりするのは禁止事項なんだけど、こんなかわいい子が一生懸命に話しかけてきたらそんな規則関係ないだろ。 次へ TOP
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前へ そんなことを思っている僕に、なかさきちゃんが言った。 「ひとつお願いがあります。お嬢様にあまり気安く声を掛けたりしないで下さい。そういうことをされると周りの目もありますし、規律は守っていただかないと」 その有無を言わせないキツい口調。 うわー、嫌われちゃってるのかなあ。 熊井ちゃん、僕のことをうまく言ってくれなかったのだろうか(←実はちょっと期待していた)。 続けてなかさきちゃんが僕に言ったこと、それには耳を疑った。 「あと、嗣永さんの関係者だか何だか知らないけど、友理奈ちゃんを惑わすようなことはやめて下さいね!」 嗣永さんの関係者って・・・ なんだそれ? 誰が熊井ちゃんを惑わしてるって? この子は何を言ってるんだろう。 「ああ見えて友理奈ちゃんは優しいから、誰の言うことでもすぐ聞いちゃうんだから」 それじゃあ、まるで僕が熊井ちゃんをそそのかしてるみたいじゃないか。 なにかとんでもない思い違いをしていないか、彼女。 熊井ちゃん、僕のことをなかさきちゃんに何て言ったんだよ。 「友理奈ちゃんがかわいそう」 「は?」 「昔のことをいつまでも。そのことにつけこんで付きまとってくるって」 おいおい、さっきから何のことを言ってるんだ!? 全く意味が分からないことをなかさきちゃんが言う。 大体考えてもみてよ。弱みにつけこまれるとか熊井ちゃんのキャラじゃないでしょ。 もしも昔のことで脅迫されるようなことがあるとしたら、それはむしろこっちの方だよ。いくつネタを掴まれてると思ってるんだ! それだけでも心外なのに、彼女が続けて言った言葉、それは僕にとって正に晴天の霹靂だった。 「それに、お嬢様が親切なのをいいことに色々と情報を聞き出してるんだって。お嬢様を利用するなんて、最低!」 なかさきちゃんは親の敵でも見るような目付きで僕を睨む。 熊井ちゃん、この子に一体何を言ったんだよ。完全におかしな事になってるじゃないか。 なかさきちゃんは僕に対して完全に悪いイメージが定着してしまっているようだ。 「あとは間違いなくお嬢様の財産目当てで近づいてきてるね。なっきぃ、もっともっと怒った方がいいかんな」 腹立たしいのは、僕の目の前で栞菜ちゃんがこのように余計なことを言ってなかさきちゃんを煽っていることだ。 なんなんだ、この人の僕を挑発するような言動は。 「お嬢様も何でこんな人に気軽に話しかけられるんだケロ」 こんな人呼ばわりされてる・・・ でも、ここはしっかりと反論しておこう。 「でも僕はですね、昔から人当たりはいい方で知られてるんですよ。クラスの女子からも“カッコよくって話しやすくて”とよく言われてますし」 「その顔でカッコイイとかオメーそんなこと冗談でもよく言えるな。鏡見たことあんのか?今だって何だそのニヤケ面は」 もちろん、これは場を和ませようとボケてみただけなのだ。お約束のツッコミありがとう栞菜ちゃん。 頭の中の構造がどうなってるのかよく分からない彼女だが、栞菜ちゃんはやっぱり男子とのやり取りに慣れていて、こっちとしてもやりやすい。 なかさきちゃん、これで笑顔になってくれるだろうか。 だが、彼女には男子のそんな冗談も通じなかったみたいで、僕に初めて笑った顔を見せてくれるどころか、まるで品性下劣な男でも見るような顔で僕を見ている。 そこまで汚ないものを見るような目をしなくても・・・ でも、この表情いいなあ。 真面目な彼女からそんな目で見られること自体に快感を覚えそうにもなる。 しかし、ここまで貶められた扱いをされると、もう何か開き直ってわざと嫌われるようなことをしてしまいたい衝動にかられてしまう。 どうせ悪印象を持たれてるんだろ、もうヤケクソだ。 なかさきちゃん、覚悟。 「何で話しかけるかって、それは僕に惹かれるところがあるからじゃないですか。お嬢様にとって」 「はああぁ?」 「お嬢様は僕の言うことをいつも丁寧に聞いてくださいます。なかさきちゃんの言うことに対してはどうですか?」 「・・・・・・」 「そういえば昨日もお嬢様、なっきぃに細かく注意されたから不貞腐れてたね。まぁ、お嬢様の逆ギレは珍しくも無いけど」 「だって、それはお嬢様が・・・」 「なるほど。お嬢様のなさることをいちいち頭ごなしに注意とは。それではお嬢様がかわいそうですね」 「何だその勝ち誇った顔は」 軽くなかさきちゃんをイジってみました。栞菜ちゃんが話しに乗ってきてくれることも期待して。 男子特有の調子こいた発言に栞菜ちゃんのツッコミも決まって、上手くオチたんじゃないだろうか。変な感じになっていた空気もこれで一掃だ。 いいテンポのやりとりができた。栞菜ちゃんありがとう。 なんだかんだで栞菜ちゃんは空気を読んでくれるんだよな。 案外優しい奴なんじゃないか、有原。いいところあるじゃん。 今の流れで多少は打ち解けられたんじゃないかな。 僕に対して必要以上に警戒心を持たなくていいってこと分かってもらえただろうか? どうですか、なかさきちゃん。 ・・・僕はちょっと分かっていなかった。 なかさきちゃんが男子生徒のことをわかっていないように、僕もまた女子校の優等生のことを分かってはいなかったのだ。 そしてもうひとつ、有原栞菜という女の子の恐ろしさも分かっていなかった。 冗談を軽く受け止めてくれる栞菜ちゃんとは違って、なかさきちゃんは僕の発言を言葉通りの意味に真面目に捉えていた。 プルプルと震えている彼女、顔を真っ赤にして僕の言ったことに甲高い声で反論してきた。 「私はお嬢様のことを本当に真剣に考えているんです。それで私が悪者になったとしても、お嬢様の為になるならそれは本望なんだから!」 「さすがだかんな、なっきぃ。お嬢様の為になることが何といっても一番重要なことだからね、たとえその場は嫌がられたとしても。 なっきぃがそう思ってるのは、きっとお嬢様も分かって下さってるよ」 「栞ちゃんもそう思う? 分かってもらえて嬉しい」 「もちろん。私もそれをいつも実践してるんだから。私が毎晩している行為は全てお嬢様の為を思ってのry」 「本当? 栞ちゃんもそう思ってるなんて! 良かった。私だけが一人で張り切りすぎてるのかと思って悩んでたんだ」 「もちろん分かってるさ。でも男なんかには決して分からないだろうね、お嬢様のことを本当に思うってことがどういうことだか」 何だその勝ち誇った顔は。 もう一刻も早くこの場を立ち去りたいと思ってるのがありありと分かるなかさきちゃん。 彼女はツンとした表情で僕の前から去って行った。僕に次の捨て台詞を残して。 「嗣永さんにも言っておきますけど、あなた方はお嬢様に関わらないで下さい!!」 桃子さん? さっきもあったけど何で桃子さんの名前がいきなり出てくるんだ? 何の必要があって何を桃子さんに言うんだろう? なかさきちゃんは訳の分からないことを言う。混乱してるのかな。 結局、今日もなかさきちゃんに笑顔になってもらえなかった。 気が付けば、僕は栞菜ちゃんの挑発に乗せられて自爆してしまったということか。 彼女の方が一枚も二枚も上手だった。 意外と優しい奴、と思わされてしまったこと悔しすぎる。僕の一人合点もいいところじゃないか。 僕の言動は全て彼女の脚本通りの展開だったんだろう。僕は彼女の手のひらの上で踊らされてたのか。 しかも、僕の発言を利用して自分の行為の正当性もアピールしているようだ(毎晩何を実践しているっていうんだろう)。 なんて頭の切れる人なんだ。 栞菜ちゃん、恐るべし。 なかさきちゃんの後を追うように栞菜ちゃんが踵を返したときの、人を上から見下しているようなあのいやらしい笑い顔。 夕闇の中で見たその表情、しばらくは忘れられそうに無い。 次へ TOP
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「たっだいま~」 今どき、どこの家の玄関だって鳴りはしないだろう耳障りな音を立て、千聖の家の玄関は開いた。 玄関が開くと、既に妹たちが兄の帰りを待ちわびたかのように横に一列に並んで立っていた。 「おかえり」 「今日はたんと買い物してきたからね。夕ご飯は楽しみにしててよ」 「うん。買い物袋は私が持つね」 一番上の妹の明日菜が袋を受けろうと手をさしのばしてくる。 自分と年が二つしか離れていないのに子供とは思えないしっかり者で、家では一番の働き者だ。 千聖がいない時は、この家のいわば大黒柱は明日菜になる。 それだけに、小さな頃は細腕だった明日菜も以前よりもがっしりとした印象がある。 袋を受け取った腕をみて、心の中で『苦労をかけてごめんな』と謝る。 家の奥に消えていく明日菜の背中を見送っていると、 「お兄ちゃん、商売道具はオイラが持つよ」 今度は肩にかけている靴磨き道具の入った袋を持とうと、弟が手を伸ばしてくる。 にっこりと笑い、欠けた前歯を覗かせて、弟は千聖からふんだくるように鞄を持ち去って行った。 特に重いものが入っているわけではないが、まだ幼い弟には重いので鞄が床を引きずられている。 鞄には何か所か不自然にアップリケが張られているのだが、その原因は言うまでもなく弟が作ったものだ。 だけど、千聖はそれを咎めることはしない。 弟が兄の手伝いをしたいと思ってくれるだけで、嬉しいのだ。 しーんと静まり返った玄関に取り残され、千聖は完全にダンを紹介するタイミングを逃してしまったことに気づいた。 いきなりダンを紹介したかったのだが、それでは驚かせてしまうと思い、千聖は玄関前にダンを待機させていた。 ダンは相当優秀な犬のようで、物は試しとやってみた『待て』という指示をすんなりと聞いてくれた。 ここは『待て』を解除して呼び出そうか、そう思っていた時、自分の足元で「クゥーン」と鳴き声がした。 さすがにずっと『待て』の状態は厳しかったか、足元に目線を映すとつぶらな瞳でダンが千聖を見上げていた。 「ちしゃ、いにゅ。ちしゃ、いにゅ。ちしゃ、いにゅ」 パチパチを手を叩き、大人しくしていた一番下の妹が嬉しそうにはしゃいでいる。 一歳の赤ん坊でも犬が可愛いと感じるのか、ハイハイをして進んでくる。 「危ないって。落ちたら怪我しちゃうだろう。ダメだよ、メッ!!」 「ちしゃ、いにゅ。ちしゃ、いにゅ。ちしゃ、いにゅ」 「はいはい、わかったって。後でちゃんと紹介してあげるから。よしよし」 妹を抱きかかえ、靴を脱いで家に上がって中に進む千聖。 足元には、すっかりなついたダンが千聖の歩幅にあわせてテクテクと歩いている。 そんなダンを見ていると、犬が大好きな千聖は顔がほころばずにはいられなかった。 「可愛い奴め。えへへへ」 「クゥーン ’w’) 」 ここまできてしまえば、もうそのまま妹たちにみせるしかないと判断した千聖は、威勢良くドアを開け放った。 「ジャーン!! 聞いて驚けよ。今日からうちの新しい家族の紹介だ。仔犬のダンです」 「クゥーン ’w’) 」 「え、えぇぇ~犬がうちにいるよ。お兄ちゃんが連れてきたの? か、かわぃぃ」 一瞬驚きに満ちた表情をしていた明日菜も、犬好きの岡井家の血が騒ぐのかすぐにダンを抱きしめにきた。 弟もダンの登場に大喜びで、その場で飛び跳ねてダンの仲間入りを歓迎している。 「よかったな、ダン。これでお前も今日からうちの家族だぞ」 ダンの小さな頭をくしゃくしゃに撫でてやり、千聖は新しい家族を迎え入れた。 ダンが仲間入りを果たしてから数日、千聖はいつも通りにガード下に靴磨きをしにやってきていた。 今日からダンがいてくれるから、今までと違って寂しくお客さんが寄ってくれるのを待たなくてもすむのがとても心強い。 ダンは千聖の前を人が通るたび、物悲しそうな声で「クゥーン ’w’)」と鳴くので呼び込み役になっている。 毎日、千聖の前を通っても素通りしていたお客さんまでもがダンが鳴くたびに反応を示してくれる。 「君って犬と一緒にいたかな? 前に見た時は君だけだったと思うけど」 「あっ、気づいちゃいました。そうなんです。最近飼い始めたんですよ。ダンって言ってとてもお利口なんです」 「ふぅ~ん。可愛い上にお利口とあっちゃ主人としたら最高の犬じゃないか」 ダンが褒められると、自分が褒められているようで千聖は誇らしげな気持ちになる。 そういうときは、靴を磨く手にも自然と力が入り、お客さんからも綺麗になったと評判がいい。 だから今もお客さんの靴が太陽の光を反射してピカピカに輝いている。 「ありがとう。おつりはいいよ。ダンの餌を買う資金にでもしてよ。それじゃあ」 「え、あ、ありがとうございました。またお願いします」 小銭をじゃらじゃらと言わせていたほんの数日前と違い、今は自分の知らないおじさんの顔が印刷された紙がいっぱいある。 缶に貯まったお金をみつめ、千聖は世界一のお金持ちになったと錯覚するほど、気持ちは舞い上がっていた。 それだけに突然いなくなったダンのことになど気づいてもおらず、戻ってきたときにダンが口からぶら下げた子供サイズの小さな靴には驚かされた。 「ダン、今までどこ行ってたんだよ。っていうか、お前の口にある物は何だ?」 手にとってみると、間違いなくそれが子供用の靴だということがはっきりわかった。 それも自分が磨く必要がない新品同様の靴であり、どんなにお札を持っていたとしても千聖には買えない物でもあることもわかった。 「全く悪戯っこだな、誰に似たんだよ。持ち主に返さないといけないぞ。どこにいるんだろう・・・」 持ち主が今頃困っていないかなと心配して通りを行き交う人をみていると、背後から声がかけられた。 「そこのチビスケ。お前が持っているのは舞の靴でしゅ。返せ」 「うぉ~び、び、びっくりしたぁ~。って、あんた誰?」 千聖が背後に振り向いてみれば、そこには如何にも気の強そうな目をした可愛い女の子がいた。 ←前のページ 次のページ→
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額に巻いた三角の布。真っ白な着物に乱れた髪。 なかなかのオバケっぷりだと自負していたのに、さっきから私は、道行く人たちに「かーわいー!」とか言われて、頭をナデナデされたりしている。 「中等部の子?オバケ屋敷?遊びに行くからクラス教えて」 「ち、違いますっ!私高3なんで!」 「またまた御冗談をー」 クラスの出し物、肝試しの呼び込みで廊下をうろついてたけれど・・・誰も怖がってくれない! 舞美の“頭に釘が刺さった血まみれ女子高生”は、大学生ぐらいの男の人が腰抜かして逃げてく程なのに、私の女幽霊は、せいぜいちびっ子が3秒ぐらい驚いたあと「へへーん、怖くないよばーか!」とか言って絡んでくる始末。 「まあまあ、佐紀のおかげで結構お客さん来てるみたいだよ!ろうなくにゃんにょ安心して入れるお化け屋敷ってことで!ゴフッ」 口に含んだ血糊をダラダラ零しながら、舞美が微笑む。・・・ごめん、知り合いだってわかってても怖すぎる。 「佐紀ー?どこ行くの?」 「んー、せっかくだから、ちょっと新規開拓してくる。うちら対になって客引きするより、それぞれターゲット絞った方が効率的じゃない? 舞美はホラー好きそうな大人層、私はファミリー層担当みたいな」 そう提案すると、舞美は「さっすが佐紀!ゴバブシャ」と深紅の霧を撒き散らしつつ喜んでくれた。うん、そこ後で掃除しといてね。 261 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/06/11(金) 17 26 08.22 0 舞美と別れて、私は裏庭の方へ回ってみた。 「うーらーめー・・・いててて」 「わー、おばけだー!遊んでー!」 「ねーねー、何で生きてるのにゆうれいなのー?へんなのー!」 ――ちょっとは怖がってくれ、チビっこたちよ!小さな拳でボカボカ殴るんじゃない! とはいえ、任務は任務。まとわり着いてくるチビっこたちのパパママにオバケ屋敷を紹介しつつ、教室までの道を丁寧に説明。 「じゃあ、後で寄ってみるわね」 「はーい。どうもー。リタイアしなかったら、景品の贈呈もあるんでー。」 よし、10組程約束を取り付けた。 自分で言うのもなんだけど、私は年上の人との折衝が結構上手いと思う。 調子に乗って、今度は生徒も誘ってみようかと、キョロキョロ辺りを見回した。 「おっ」 ちょうど、見覚えのある後ろ姿。ぼーっと立ち止まっているその人物に、私はそっと近づいていった。 そして、耳元に顔を近づける。 「うーらーめーしーやー・・・」 262 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/06/11(金) 17 27 17.25 0 「きゃああああ!!?」 彼女――千聖お嬢様は、ものすごい悲鳴をあげたかと思うと、ぴょーんと飛びのいて私と距離を取った。 「フガガフガフガフガ」 「ちょ、落ち着いて!ごめんごめん、私だよ、清水佐紀!」 本当に誰だかわからなかったのか、千聖お嬢様は何度も私の全身に視線を向けた後、やっとぎこちなく笑ってくれた。 「まあ、佐紀さんだったのね。ごきげんよう・・・、ウフフ、小さな子どもの幽霊なのかと思ったわ」 「・・・お嬢様ったら、可愛い顔して傷をえぐるんだから」 「そういえばさっき、凄惨な姿の舞美さんともすれ違ったわ。佐紀さんと舞美さんのクラスで、オバケ屋敷でもなさるのかしら?」 「ええ、そうです・・・っていうか、舞美は怖くなかったんですか?」 「佐紀さんの方が、幽霊らしくて怖かったわ」 ――ふむ、座敷わらし系幽霊>>>血まみれ女子高生とは。わかっていたことだけど、お嬢様はなかなかの変人だ。 「お嬢様、今、売り子さん?」 よく見ると、お嬢様は小さな籠を小脇に抱えていた。 中にはカラフルにデコレーションされた串刺しのドーナツが、2,3個だけ入っている。 食べ歩きしやすそうだし、結構売れてるってことかな? 263 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/06/11(金) 17 28 30.40 0 「ええ、先ほどまでは妹と行動していたのだけれど、言い争いをして、別行動をすることになって。 教室に戻ったら、すぎゃ・・クラスのお友達から、売り子さんを頼まれたの。繁盛していて忙しいみたいだから、千聖もお手伝いをさせてもらうことにしたのよ」 「・・・へー、千聖お嬢様でも口ゲンカとかするんですねぇ」 「うふふ、妹とはいつも喧嘩ばかりよ。舞ともよくするけれど」 「そーなんだ」 お嬢様は生徒会のお仕事をやってるときは、どっちかといえば受け身でぽわーんとした・・・そう、愛理みたいな感じ。そういう姿しか見てなかったから、何か意外だなあと思った。 妙にかまってあげたくなるタイプなのは間違いないけど・・・私は寮にいるわけじゃないから、舞美やえりかほどお嬢様のことをよく知らない。 こうして話してると、いろんな面が見えてきて面白いかも。 「・・・お嬢様、それ、全部買っていい?」 「え?」 私は籠の中からドーナツを纏めて取って、金額分の小銭をお嬢様のポケットに入れた。 「まあ、いいのかしら?」 「うん、小腹がすいてたとこだし。それより、これで完売でしょ?売り上げクラスの子に預けてさ、ちょっと私に付き合ってくれない?」 「でも、」 「いいからいいから。これ、佐紀のおごりね」 私は買い上げたドーナツを一つお嬢様に手渡すと、腕を取って歩き出した。 「こーやって食べて歩くと、またそれも宣伝になるからね。うん、おいしい!」 「ありがとうございます」 口の周りにカスタードクリームをつけたまま、お嬢様はにっこり笑った。 TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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十一日目。 トンッ。 目の前に置かれた夕食を見て、私は夕食を置いた張本人を見る事なく溜め息を吐きました。 中華スープとれんげが置かれた時点でもう分かり切っているもの……。 「……………」 「……………」 「め…村上さん」 「何でしょうか? 千聖お嬢様」 「今日はどちらの名産品なの?」 「今日は『神奈川のチャーハン』です。お下げしますか?」 「……いいえ、食べるわ。味付けに使用した調味料はご存知?」 「塩、胡椒、コンソメ、あとは……(やばいでしょ。これ)」 「あら? どうかした?」 「……た、たまには当ててみるのもいいかと思いますのでこれ以上は」 め…村上さんの対応を軽く流しながら私は『神奈川のチャーハン』を頂く事にしました。 こ、この甘ったるい味の感じは…ピ、ピーナッツバターかしら? (何故かしら? 一瞬、舞美さんのご友人の顔が浮かんだ様な気が……) 从´∇`从<ピーナッツバターがないのでピーナッツば食ーべたよ 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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四日目。 トンッ。 目の前に置かれた夕食を見て、私は夕食を置いた張本人を見る事なく溜め息を吐きました。 中華スープとれんげが置かれた時点でもう分かり切っているもの……。 「……………」 「……………」 「め…村上さん」 「何でしょうか? 千聖お嬢様」 「今日はどちらの名産品なの?」 「今日は『千葉のチャーハン』です。お下げしますか?」 「……いいえ、食べるわ。ちなみに何チャーハンなのかしら?」 「ゴーヤをふんだんに使用したゴーヤチャーハンです」 「ゴーヤ……」 「胡瓜とゴーヤ、どちらにするか迷われたと伺っています」 め…村上さんの対応を軽く流しながら私は『千葉のチャーハン』を頂く事にしました。 胡瓜とゴーヤを悩むって一体どういうセンスの料理人さんなのかしら? (何故かしら? 一瞬、カッパの着ぐるみを着た愛理の顔が浮かんだ様な気が……) 州*´▼v▼)<胡瓜チャーハンも美味しいよ。ケッケッケッ 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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八日目。 トンッ。 目の前に置かれた夕食を見て、私は夕食を置いた張本人を見る事なく溜め息を吐きました。 中華スープとれんげが置かれた時点でもう分かり切っているもの……。 「……………」 「……………」 「め…村上さん」 「何でしょうか? 千聖お嬢様」 「今日はどちらの名産品なの?」 「今日は『神奈川のチャーハン』です。お下げしますか?」 「……いいえ、食べるわ。味付けに使用した調味料はご存知?」 「塩、胡椒、コンソメ。至ってシンプルな味付けと伺っています」 「でも具材は大きめに切られてるわね」 「料理人の個性……ですから」 め…村上さんの対応を軽く流しながら私は『神奈川のチャーハン』を頂く事にしました。 けど本当に具材が大きめだわ。何か意図があるのかしら? (何故かしら? 一瞬、とてもとても大きな方の顔が浮かんだ様な気が……) 川*^∇^)||<ぬわ~んで名前覚えてないんですか! って自己紹介したっけ? 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -